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ダダダ研究室
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No.31

ショッピングモールにやってきた。猫使のための日用雑貨を選び、気晴らしにゲームコーナーへも向かう。無数の光と音の中ではしゃぐ猫使の姿は、その場だけ切り取れば人間の子供とほとんど変わらず、ただ純粋に微笑ましい。気分転換に来たはずが、気づけば観察記録になっている。

階段を前にした猫使は、ためらいもなく二段飛ばしで駆け上がり、踊り場から身を乗り出して辺りを観察している。その猫的な跳躍力を目の当たりにして、この「キャットタワー」で鈍くさい猫が自分1匹だけだと一段ずつ階段を登りながらため息をついた。

ふいに天井近くに取り付けられた監視カメラの存在に気づく。踊り場の猫使と、天井の監視カメラを同時に視界に入れた時、背筋に寒気を感じる。それは猫使の瞳が無機質に感じたからか、それとも、カメラレンズに生物のような視線を感じたからかーー

楽しいお出かけに水を差さないよう、ひとまず猫使と遊ぶことに意識を集中させることにした。のろのろと息を切らせながら階段を上がっていく。

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